こんにちは、ユーリです!
今回はなにやらクリエイティブなお話。
ことのはじまり
ある日のこと
私「最近、会社でUnityっていうのやってるんだー」
母「へー、なにそれ」
私「3Dでいろいろ動かしてアプリ作れるソフトだよ」
母「ほほう」
私「3Dのモデリングとかもやってるよ!」
母「3Dかー じゃあ今流行りの3Dプリンターとかも使えるの?」
私「あ、たしかに3Dのデータがあれば3D出力もできそうだね」
母「じゃあ今度のお母さんの誕生日プレゼント、3Dプリンターで作って!」
私「えっ」
こんなことがあり、3Dモデリングをして3Dプリンターで世界にオンリーワンの誕生日プレゼントを作るという任務が課せられました!ひー!
まあ作れるけどな!!
私「3Dで作るのはいいけど、どんなのがいい?」
母「ねこ好きだから、ねこのオブジェがいいなー。」
母「ねこがのび〜〜〜ってしてるポーズ作って!箸置きとして使いたい!」
私「御意」
ということで、ご注文は「ねこの箸置き」になりました。
さあモデリングじゃ!
モデリング工程
モデリングに使用したのはSculptrisというアプリケーション。
粘土をこねるようにして直感的に3Dモデリングができるソフトです!
フリーソフトなので、興味がある方は是非お試しください!
モデリング
Sculptrisを起動すると、まあるい粘土のカタマリみたいなものが初期配置されています。これをマウスを使ってこねこねしていきます。
まずは画面左上にあるツール「GRAB」をつかって、大まかな形を整えます。
この「GRAB」がもっとも使いやすく、最初に多用するツールになります。
ぐにゃー
ぐにゃにゃー
形は自動的に左右対象に作られていくので、特になにも考えずとも美しい形が仕上がっていきます。
「GRAB」で整えた形を「DRAW」と「SMOOTH」で整えていきます。
この二つは「GRAB」の次によく使います。
shiftキーを押しながらマウスホイールの上下で、ツールの効果範囲を調整できます。
Xキーを押して[Invert]がオンになっている間は、ツールの効果が反転します。
「GRAB(ふくらます)」の場合は反転するとへこませる効果になります。
なんだか猫っぽくなってきました!
ここまで作ったものを一旦見せたところ、「目は開いていたほうがよい」「毛色はアメショーにして!」とご注文をいただきました。
まあ色を塗るのは最後なんですけどね。
それと、こういうデザインのオブジェだったらどこかに売ってそうなので、何かオリジナル要素が欲しい!と思いつき…
ねこの頭になにかを乗せたデザインにしようと決まりました。
私「あたまに何か乗せようと思うんだけど何がいいかな?たとえばシルクハットとかさ」
母「りんごがいいなあ。りんご好きだから」
りんご!?これまたナナメ上だわー
りんごが乗りました。
せっかくなので、りんごの正面に「Happy Birthday」と掘りました。
よしよし!オンリーワン!!
ちなみに、カメラの調節をしたい場合は、画面上の図形ではないところをドラッグしてみてください。
通常のドラッグで視点回転、Altキーを押しながらドラッグで視点移動です。
色を塗った
Sculptrisではモデリングだけでなくペインティングもできちゃいます!超便利!モデリングが終わったら、画面右上の「PAINT」ボタンからペイントモードへ。
色を塗ったら一気にいい感じになりました。ワーオ!
※注意!
一度ペイントモードにすると、3Dモデルは確定することになります。
つまり、ペイントモードに入ると、もう図形の変更はできません。
どうしても3Dモデルのやりなおしをしたい場合は、ペイントは消えてしまいますが、
いったんファイルを開き直して「Go To Paint Mode?」でいいえを選ぶと、
モデリング画面からやりなおすことができます。
書き出し
完成したら、EXPORTボタンより「.obj」のファイルを書き出します。これがモデルデータになります。
さらに、「Show advanced tool」ボタンから
「SAVE TEXMAP」を選択し「.png」のファイルを書き出します。
こちらはテクスチャデータです。
今回の場合はねこにペイントした色情報が1枚の画像に収まった状態になります。
書き出したテクスチャファイルがこちら。
なにやら不思議な画像ですが、3Dモデルを展開した形なのだそうです。
3Dの形状が入った「モデルデータ」と、
モデルに対して色を配置する「テクスチャデータ」が必要なファイルのセットになります。
3Dプリンター出力用ファイルを生成する
3Dモデルが完成したら、今度はそのデータを3Dプリンターさんが正しく読んでくれる形に整える必要があります。
今度はblenderというアプリケーションを使用しました。
こちらもフリーソフトです。素晴らしいい!!
blenderは総合3D編集ソフトです。
このソフトでもモデリングは可能ですが、直感的にモデルが作れるScluptrisと比べると、blenderでのモデリングは座標に頂点を配していくような厳密なものになります。(今回はblenderでのモデリングは説明しません。)
今回blenderで行う操作はサイズ調整とテクスチャ貼り付け、書き出しのみです!
インポート
まずは初期状態で配置されている立方体をDeleteキーで削除し…ファイルからImport > obj を選び、Sculptrisで書き出したものを読み込みます。
blenderに読み込むことができました。
テクスチャを貼る
Sculptrisのペイントで作ったテクスチャは別データなので、読み込むための操作を行います。画面右側のアウトライナー内で対象オブジェクトを選択(1)し、
テクスチャメニュー(2)を選んで、新規(3)から新しいテクスチャを作成します。
新しいテクスチャで出来たら少し下にある「開く」を選んで、Sculptrisで書き出したテクスチャ(png)を取りに行きましょう。
テクスチャを読み込みましたが、まだ反映はされません。
次はビューメニューから「UV Editing」を選択し、UV(テクスチャ)編集用画面に移ります。
UV Editingモードはこのような二画面構成になります。
右画面の下の方にある「オブジェクトモード」を「編集モード」に切り替えます。
編集モードになったら「メッシュ」→「UV展開…」→「展開」を選択します。
ここまででテクスチャを反映する準備ができましたので、今度は左画面の下にある「開く…」を選んで、再びSculptrisで書き出した(.png)のテクスチャファイルを読み込みましょう。
そして再びビューメニューを「UV Editing」から「Default」にもどします。
シェーダーから「マテリアル」を選択すると…
お見事!やっとテクスチャが反映されました。
ここまで来ればあとひといきです。
ちなみに、この時点でモデルの影が強すぎて暗くてよくわからない場合…
マテリアルメニューから「陰影なし」を選んで、影の表示をOFFにしましょう。
微調整
あとは書き出すだけなのですが、このBlenderデータ内での「モデルの大きさ」が、実際に3Dプリントする際の「実物の大きさ」になります。
モデルの大きさは画面左の「トランスフォーム」ツールから「拡大/縮小」
またはモデルを選択して「sキー」で調整できますので、いろいろお試しください。
なにはともあれ、一旦書き出してみましょう!
「ファイル」から「エクスポート」、「Wavefront(.obj)」を選択します。
エクスポート設定はとくにそのままで大丈夫ですが、
エクスポートファイルの保存先は、必ず「blenderファイル」と「テクスチャファイル」が入っている同じフォルダにしてください。
(こうしないと一緒に出力される.mtlのパスがややこしいことになります。)
このエクスポートによって出力されるのは「.obj」と「.mtl」の2ファイルになります。
最終的に3Dプレンターで出力する際に必要なのは、この2つにテクスチャ「.png」をあわせて3つのファイルになります!これで全て揃いました。
このままファイルを使えば3D出力も可能ですが、念のため出力される大きさの確認とモデルデータにエラーがないかどうかも確認しましょう。
データから仕上がりサイズを確認
仕上がりの確認には、また別のソフトを使います。
またかよって!?ゆるしてください!これで最後ですしフリーソフトです!
私はMac使いなので「netFabb Basic」というフリーソフトを利用しました。
Windowsの方は「MiniMagics」というフリーソフトがよいらしいです。
読み込むだけ!
といっても、使い方は先ほど書き出したobjファイルを読み込むだけです。ファイルを開くと、画面右下にリアル寸法が表示されます。
今回のデータですと、
Length : 16.49 mm
Width : 61.92 mm
Height : 24.36 mm
と書いてあります。
これを出力すると、現実世界では
横幅 6.1cm 奥行き 1.6cm 高さ 2.4cm のサイズで出来上がるわけです!
サイズの確認ができたら、いよいよ出力です!
さあプリントだ! in DMM.make
3Dプリンターを出力できる場所はいろいろありますが、
今回はDMMさんの3Dプリントサービスを利用しました。
フルカラープリントが選べて値段もお手頃だった為。
ネットでデータ入稿して、出力されたら自宅に宅配で届きます。便利!
素材はアクリル、ナイロンなどありますが、最初から色がついた状態で出力したもらいたい場合は「石膏フルカラー」!
PC上でテクスチャで塗った色を再現してくれるので、自分で着色しなくても大丈夫です!
blenderで書き出した、「.obj」「.mtl」の2ファイルと、
Sculptrisで書き出した「.png」ファイル、あわせて3ファイルをzipでかためてアップロードします。
ただしくアップロードできていれば、このようにプレビュー画面の時点で色が付いた状態になります。
ここから「石膏フルカラー」で注文すれば、予め着色された状態で届くのです!
※ちなみに、第一稿でリンゴのヘタ部分が細すぎた為かNGを食らった為、
一旦モデルの調整&色の塗り直しを行っています。
その際、猫の腕と尻尾も細すぎる恐れがあった為、若干太めにする修正も行いました。
おうちに到着!
数日後…
おうちに届きました!
プチプチにくるまれて厳重に。
開封してみると…
おおおー!そのままやんけ!!
後ろからみるとこんなカンジ。
写真撮るのへたでごめんなさい。
我ながら良い仕上がりでした。
この通り、お箸も乗せれます。
残念ながら、りんごの正面に彫った文字は、細かすぎたのか再現されませんでした。
石膏フルカラーの3Dプリンターでは、まだ10分の1ミリ単位の細かい装飾は再現できないようです。
母は大変まんぞくしていらっしゃいました。
これまでの誕生日プレゼントでいちばんだったそうな。
興味のある方は、ぜひチャレンジしてみてください!
ユーリでした。
3 件のコメント
誕生日プレゼント、素敵です。
甥っ子と夏休みに何か作って遊んでみようと思います。使い方も参考になりました。
>ともひろさん
コメントありがとうございます!うれしいです(人´∀`)
夏休みの自由研究などにもマッチしそうですねー。
家庭用の3Dプリンターにもデータ流用できると思いますよ!
参考になりましたら幸いです。
Dude, right on there brhroet.