other

マンガ大賞2022ノミネート作品を拝読しましたので感想

たまには定期記事じゃないものを!マンガ大賞2022のお話です。
二次ノミネート作品は、『海が走るエンドロール』『【推しの子】』『女の園の星』『自転車屋さんの高橋くん』『ダーウィン事変』『ダンダダン』『チ。―地球の運動について―』 『トリリオンゲーム』『ひらやすみ』 『ルックバック』 の10点。


前置き


わたしは漫画が好きです。だいぶすきです。略してだいすき。
この個人ブログでは毎週、週間少年ジャンプの感想をつらつらと書いていますが、主にジャンプ漫画しか読まないというわけではなく、月に2~3度はネカフェに入り浸りオススメコーナーにある漫画を物色したり、漫画アプリで片っ端から読んだりしています!

そんななかで、たまたま読んだ作品だけで『マンガ大賞2022』二次ノミネート作品の半分くらい既に読んでいたことに気づいたため、どうせならコンプしてみっか!と思い立ち全10作品、読みました。

上記10作品。マンガ大賞2022の要項からですが、2021年1月1日から12月31日までに単行本が発売された作品のうち、最大巻数が8巻までのマンガ作品から選考員の得票数上位10作品が二次ノミネートとなります。この中から大賞が決まるようです。(この記事を書いている時点では大賞が決まっていません。)

何か面白い漫画ないかな〜、と漠然とお探しの方がいましたら参考になれば幸いです!
数々の作品のなかから絞り込まれた10作品ですから、どれもめっちゃ面白かったです!
ぜんぶ面白かったので読んでほしくて記事をつくりました!!


以下、あまりネタバレが多くならない範囲で、さわりのあらすじと簡単な感想で紹介いたします。
※既刊情報はこの記事を書いている時点です。

『ダンダダン』
『【推しの子】』
『チ。―地球の運動について―』
『ルックバック』
『トリリオンゲーム』
『海が走るエンドロール』
『ダーウィン事変』
『自転車屋さんの高橋くん』 
『女の園の星』 
『ひらやすみ』

『ダンダダン』


ジャンル:バトル、オカルト
既刊3巻まで発売 ジャンプ+で連載中


連載メディアがジャンプ+なので、基本無料でいますぐ読むことができる作品。
読みたい場合はこちら
ひとことで言えば、令和のバトルマンガ! これまで幾多のバトルマンガが世に出てきましたが、バトルマンガ特有の文脈やお約束がブラッシュアップされてスタイリッシュにまとまってて読みやすいです。
そして、マンガ大賞2022二次ノミネート10作品のなかでも唯一のバトルマンガでもあります。
まず画力と描き込みの量がすんごいです!コマのアングルや構図の迫力もやばい。
毎週火曜にジャンプ+に載ってて最新話まで無料で読めるのですが、クオリティが無料で読めるとは思えないレベルだし、この絵を一週間で仕上げているというのも信じられない。作者は超能力者ではないか。
そう、この漫画ですが主人公は超能力者と幽霊憑き。そして敵対するのは宇宙人、悪霊。UFOと心霊スポット…片方ならまだしも両方でてきて入り乱れるオカルト×オカルトのバトルです。ちょっとラブコメみたいな波動も出してみたりギャグパートも面白かったり、バトル以外の部分も面白いです。
とにかくオカルトごった煮で都市伝説やらのモチーフが多めなので、ムーとか好きなひとは刺さると思います。
ちなみに作者さんはチェンソーマンで有名な藤本タツキ先生の元アシスタントだそうです。これジャンプに連載しててもおかしくなかったとかもしれないし、連載してたら看板級だと思う。


『【推しの子】』


ジャンル:お仕事モノ、サスペンス、転生
既刊6巻まで発売 週刊ヤングジャンプで連載中


こちらはヤングジャンプで連載しており、ジャンプ+でも読める作品です。マンガ大賞2021でも二次ノミネートまで残りましたが、大賞は受賞ならずで2022で再ノミネート。
原作者の赤坂アカ先生は「かぐや様は告らせたい」の作者でもあります。仕事量やば。
記憶を持ったまま”推し”のアイドルの息子として転生した主人公のお話。
アイドルの息子だけあって顔も良い主人公はやがてアイドルがキラキラに輝く場、芸能界に身を投じることになるのですが、意外にもドロっとしたところもあり…。
転生したゆえに子供ながら明晰な頭脳を持つ主人公が芸能界の闇に切りこんだり、時には恋愛やサスペンスの要素があったりと展開に幅があって読んでいて飽きません。芸能界の内側ってこんな風なんだ〜(※フィクション)的な、お仕事モノとしても奥行きがあります。


『チ。―地球の運動について―』


ジャンル:歴史、天文学
既刊6巻まで発売中 ビッグコミックスピリッツで連載中


こちらもマンガ大賞2021で二次ノミネートまで残っていた作品。2022で再ノミネートされた三作品の一つです。
「それでも地球は回っている」と、ガリレオ・ガリレイが言ったとか言わなかったとかの話は有名ですが…、
かつて、宇宙の中心が地球である「天動説」を大多数の人間が信じていた時代。しかし、よくよく観察してみれば、あれ…? もしかしたらそうじゃないんじゃない…? 動いているのは地球のほうなんじゃないか…? そうして「地動説」が”発見”されます。
この世界を形作る、自分が信じている法則が間違っていたら? その衝撃は計り知れません。
見開きの使い方がハチャメチャに上手いです。作中人物が受けた”衝撃”とピタリ一致するタイミングでドドーン!と大ゴマを使ってくるので、読んでいて「うおお…!」と衝撃を受けます。感動や心の動き、揺さぶりの表現がうまくて、思わず天を仰いでしまう。
現代で言えば「幽霊は実際に居る」だとか「天国は本当にある」みたいな話ですが、仮にそれが真実だとしたらどうしますか? まわりに話したくなりませんか。誰も知らない”本当”を解明したくなりませんか。好奇心は猫を殺すとしても…。作中人物たちが思わず抱いてしまう”熱”に、感情移入せずにはいられません。個人的にはかなりオススメ。


『ルックバック』


ジャンル:ヒューマンドラマ
既刊1巻 完結 ジャンプ+に掲載


ご存知『チェンソーマン』の藤本タツキ先生の長編読み切り。ジャンプ+で公開されました。(単行本発売後は、ジャンプ+では全編読めなくなってます。)
絵を描くことが好きな女の子、藤野はクラスメイトに自分の絵を見せてうまいと言われ得意げになっていたが、ある日同い年で自分より絵がうまい子の存在を知り…。
“ルックバック”の題の通り、”背中”で語っています。バックにはそれ以外の意味もこめられていそうですが…。
作中で経過する時間の流れと、その見せ方から没入感があり、メッセージ性から他の漫画作家さんたちは打ちのめされるほどだったという曰く付きの作品。
前作ファイアパンチの頃からイカレたぶっ飛び系の作風かと思われがちだったタツキ先生ですが、とんでもないです。あの味は敢えてだしてたようです。
人間社に対する深い洞察と、内面に真摯に向き合う哲学性と、社会性を持った作家…それが本来のタツキ先生だと思います。才能の塊…!
ノミネート作品のなかでは唯一読み切りなので、スッパリ1冊で完結するという点でも読みやすいです!


『トリリオンゲーム』


ジャンル:金融、成り上がり
既刊3巻まで発売中 ビッグコミックスペリオールで連載中


1人は、最強の営業マン。しかしハッタリだけで技術はからっきし。
1人は、最高の技術者。しかしコミュニケーションはニガテ。
対極の2人がタッグを組んでゼロから会社を立ち上げ、名だたる大企業に体当たり…!?
トリリオンとは、一兆ドル。世界イチ稼いで、全てを手に入れるまでの道のりのお話!
原作の稲垣理一郎先生は、Dr.STONEやアイシールド21でもお馴染みの凄腕の原作者さん。
ロードマップをひとつひとつクリアしてレベルアップしていく様子は金融版Dr.STONEといった感じ! キャラクターのぶっ飛んだ行動や軽妙なセリフもどことなく似ています。正気を疑うようなとんでもアイデア、だけどびっくりするほど合理的で唸らされる。
テンポよく進むのでどんどん先を読みたくなります。


『海が走るエンドロール』


ジャンル:ヒューマンドラマ
既刊1巻まで発売中 月刊ミステリーボニータで連載中


ひとことで言えば「エモい」です。作品タイトルからストーリーから、非常にエモい。
声に出してみてくださいよ「海が走るエンドロール」て。タイトル。おしゃれすぎますよね。書影もおしゃれ。エモ…。
主人公はなんと、65歳のおばあちゃん。趣味は映画鑑賞。
夫と死別したばかりで特にすることもない日々でしたが…ふとしたきっかけから映像専攻の美大生と出会った刺激から”映画を撮ってみたい”という気持ちが燃えはじめる。
新しいことを始めるのはいくつになってからでも遅くはないとは言いますが…映画を撮りたい、65歳のおばあちゃんとは。いくらなんでも心配になります。
しかし、その行動力がすごい。やってみたい、チャレンジしたいと船を漕ぎ出し、徐々にエネルギーがふくらんでいく姿に勇気を貰えます。素敵でパワフルなおばあちゃんが見たい方は是非!
ところで連載誌の『月刊ミステリーボニータ』って今回調べていて初めて知りました。マイナー誌だと思うのですが、その雑誌に載っていた作品がここまで話題になるってとてもすごい。知名度と関係なく面白さは本物ってことだ。


『ダーウィン事変』


ジャンル:社会派、人外、知的生物
既刊3巻まで発売中 アフタヌーンで連載中


遺伝子操作によって生まれた、チンパンジーと人間のハーフ”ヒューマンジー”のチャーリー。人間社会のなかでただひとり人間ではない彼が、人間と同じ言葉を話し、服を着て、学校に通う。
人間以外の知的存在が身近に現れた場合、どうするでしょうか。仲良くなろうとする? 迫害する? 祭り上げる? 人間と、人間でないものの違いとは何か? 色々と考えさせられる作品です。
“異物”が放り込まれた人間たちの反応は、時に残酷なほど冷ややかだったりします。それでも優しい心を持つチャーリーの行動は尊いし、見守りたい。
人間みたいに感情移入するけど、時々人間ではない顔も覗かせ、底知れなさにゾッとするシーンも…。寄生獣とか好きな方はこういうのも好きだと思います。まあ掲載誌がアフタヌーンですし。アフタヌーン味って感じです、ほんとに。


『自転車屋さんの高橋くん』 


ジャンル:恋愛
既刊3巻まで発売中 トーチwebで連載中


ノミネート作品のなかでは、わりと女性向けっぽい作品。
彼氏いないOLな主人公がひょんなことから、年下のちょっぴりヤンキー風なイケメン”高橋くん”と知り合って、しだいに惹かれていく…というもの。
高橋くん、ぶっきらぼうに見えてかわいいとこあったりギャップ萌え要素もあり案外押しが強かったりして、まさにこんなイイ男近くにいたらいいな…!的なキャラ。
ああ〜こういう年下男子に好かれてぇ〜!っていうツボをしっかり押さえてきます。わかってますよねぇ作者さん…アラサー女子から見る理想の年下男子像ってやつが…。
年上女子が気になる男子諸君は高橋くんは真似したらいいと思う。責任はとりませんけど。
恋愛モノではありますが、三角関係とかはほぼないので安心して読めます。甘酸っぱい気分になりたい方にオススメ。


『女の園の星』 


ジャンル:コメディ、シュール
既刊2巻まで発売中 FEEL YOUNGで連載中


マンガ大賞2021で二次ノミネートまで残り、2022で再ノミネートされた三作品のうちの最後の一つ。
どんな漫画なのか何も知らず、賞ノミネートきっかけで読みました。この漫画がすごい!女編て賞にもランクインしてましたね。
読む前は「”女の園”だから女子校の話かな、なんか湿度が高そうな話かな…」って不穏な想像をしながら本を開いたんですが、ぜんぜんそんなことはなかった。めちゃくちゃシュールなギャグ漫画だった。女性向けコミック雑誌で掲載されてた作品だけど性別関係なく楽しめると思う。
女子高校で教鞭を執る男性教師、星先生の話。星って苗字!?人名だったのかよ!スターって意味だと思ってた!
星先生は終始テンションが平坦なお方なのですが、彼の視点で繰り広げられる日常の些細な出来事のひとつひとつがクスッと笑えて、たまに読者視点でめちゃくちゃ面白いこともあり、でも星先生が淡々としているので余計にシュール。周りで起きている事態を怪訝な顔ひとつでスルーしたり、落差があいまってじわじわきます。
言語センスが独特で、軽妙な言い回しがクセになったり面白いセリフが多いです。JKってそういうあだ名つけそうだな〜とか、ネーミングセンスも高い。
個人的にはポロシャツアンバサダー小林が推しです。2巻のペタリストの話でしぬほど笑ってどうしようかと思いました。声抑えるの大変だった…。


『ひらやすみ』


ジャンル:日常、ほんのり泣けるお話
既刊2巻まで発売中 週刊ビッグコミックスピリッツで連載中


こちらが10作品中最後に読んだものになりました。ノミネート作品コンプ目的で手に取ったわけですが…、素朴な絵柄だなあ、どんな漫画なんだろうなあとページをめくっていったら…スッと心の隙間に入り込んでくるような作風で、不意打ちで泣かされちゃいました。
主人公のヒロトくんは平凡な29歳フリーター、彼女なし独身。とはいえくさっているわけでもいじけるでもなく、彼なりにのんびり人生を謳歌している。穏やかで優しい青年です。
彼と、その周りのとりとめもない日常のなかで芽生える心の機微ひとつひとつに共感できて、なんだか涙がでちゃいます。メルストで言うと常夏2ndみたいなのが好きだと刺さるかも。


以上です!
10作品のなかで言うと…個人的な総括で
笑ったのは『女の園の星』『ダンダダン』
泣いたのは『チ。』『海が走るエンドロール』
関心したのは『ダーウィン事変』『ルックバック』
興奮したのは『チ。』『推しの子』
って感じで総合的には『チ。』がいちばん刺さったのですが、たぶんわたしの好みの問題だと思う。
いちばん大賞に選ばれるんじゃないかなぁと予想しているのは『推しの子』ですね。絵柄に華があるし、いろんな要素があって飽きない漫画ですし。
大賞は3月の中〜下旬に発表されるらしいです。

なお、去年の『マンガ大賞2021』で最終的に大賞受賞したのは『葬送のフリーレン』でした。こちらの作品ももちろん面白かったです。最新6巻まで買って読みました。『フリーレン』も、バトル/泣ける/笑えるなどいろんな要素を持っている作品でしたし、オススメです。

最近はメルストを隠居したぶん時間ができたので、漫画を読んだり映画を見たりといったインプットが多くできるようになりました。漫画だけではなく映画を見るのも好きです。
また何かの感想を書きたくなったら書くかもしれません。
気が向いたらたまにはユガラボにもお立ち寄りください!
よろしくおねがいします。

関連タグ

2 件のコメント

    • 1
    • ななしさん
    • 2022/01/28 21:40

    毎年そうなのですがノミネート作品どれも凄すぎて選べない!ってなってます…個人的には「チ。」と「女の園の星」が刺さったけど気づいたら一気読みしてた「ダンダダン」も好きだしもうヤバいです

    • 2
    • ユーリ
    • 2022/01/30 23:33

    >>1さん
    コメントありがとうございます!
    ダンダダンは無料で読めるのがすごいですよね…。
    わたしの周りで話聞いてみるとチ。が刺さったって方が多い気がします。前年の2021マンガ大賞ではチ。がフリーレンに続いて2位だったそうですし、記事では大賞推しの子予想って書きましたけどチ。もワンチャンあるかもしれないですね。

コメントを残す


※おなまえ空欄可("ななしさん"になります。)